
約束~リラの花の咲く頃に~ⅢLove is forever
第5章 想い
「愚かなようだが、私は今年になってからというもの、毎日のようにここに来た。裏門からこっそりと、まるで逢い引きにゆく若者のようにいそいそと橋のたもとに通い続けていた」
「では、殿下、今は私たちがお別れしてから―」
王の顔をまじまじと見つめた莉彩に、王は笑って頷いた。
「今年がそなたの約束した十年めだ。あの時、そなたは四月にりらの花が咲くと言った。ならば、もし、そなたが再びここに現れるなら、十年めの四月―即ち今月ではないかと思うたのだ。この月になってからは、毎日欠かさずここでそなたを待っていた」
おお、神さま。
莉彩の眼に涙が溢れ出す。幸運な偶然か、これも予め定められた必然かは判らないけれど、莉彩は、〝あの日〟から十年後の徳宗に逢うことができたのだ。
王が両手をひろげる。莉彩は十年間、焦がれ続けた男の腕の中へと飛び込んだ。
涙が溢れて、止まらない。だが、これは哀しみではなく、歓びの涙であった。
「では、殿下、今は私たちがお別れしてから―」
王の顔をまじまじと見つめた莉彩に、王は笑って頷いた。
「今年がそなたの約束した十年めだ。あの時、そなたは四月にりらの花が咲くと言った。ならば、もし、そなたが再びここに現れるなら、十年めの四月―即ち今月ではないかと思うたのだ。この月になってからは、毎日欠かさずここでそなたを待っていた」
おお、神さま。
莉彩の眼に涙が溢れ出す。幸運な偶然か、これも予め定められた必然かは判らないけれど、莉彩は、〝あの日〟から十年後の徳宗に逢うことができたのだ。
王が両手をひろげる。莉彩は十年間、焦がれ続けた男の腕の中へと飛び込んだ。
涙が溢れて、止まらない。だが、これは哀しみではなく、歓びの涙であった。
