
約束~リラの花の咲く頃に~ⅢLove is forever
第9章 MooN Light
やはり、三十歳になったら、疲れが溜まりやすくなるのかと考えてしまった自分を自分で笑う。
「お母さん、どうしたの?」
聖泰が不安げに見上げてくるのに、微笑む。
「何でもないのよ、少しふらついただけ」
安心させるように言うと、再び歩き始める。
だが、目眩は治まらなかった。
キーンと耳鳴りまで始まって、莉彩は息子の手を思わず放し、その場に蹲った。
「お母さん、お母さん?」
聖泰の泣きそうな声が次第に遠くなってゆく。水の中にいきなり投げ込まれたときのような圧迫感と息苦しさに襲われ、莉彩はパニック状態になった。その一方で、この感覚には確かに憶えがあると思い出す。
そう、現代からあの時代へと時を越えるときにも、これと似た感覚を憶えた。莉彩は咄嗟に手を伸ばして息子の手を掴み、自分の方に引き寄せた。今、この子を手を放してはならないと、もう一人の自分が警告していた。
圧迫感はどんどん増してくる。同時に耳鳴りも強く烈しくなり、莉彩は思わず途中で意識を手放した。
意識が闇に呑み込まれてゆく。一面の暗闇の中で、莉彩は確かに見た。
頭上に煌々と輝く満月。蒼ざめた満月が一条の光を投げかけている。
妖しく輝く月を見ながら、莉彩の意識は深い底なしの闇へと転がり落ちてゆく。
「お母さん、どうしたの?」
聖泰が不安げに見上げてくるのに、微笑む。
「何でもないのよ、少しふらついただけ」
安心させるように言うと、再び歩き始める。
だが、目眩は治まらなかった。
キーンと耳鳴りまで始まって、莉彩は息子の手を思わず放し、その場に蹲った。
「お母さん、お母さん?」
聖泰の泣きそうな声が次第に遠くなってゆく。水の中にいきなり投げ込まれたときのような圧迫感と息苦しさに襲われ、莉彩はパニック状態になった。その一方で、この感覚には確かに憶えがあると思い出す。
そう、現代からあの時代へと時を越えるときにも、これと似た感覚を憶えた。莉彩は咄嗟に手を伸ばして息子の手を掴み、自分の方に引き寄せた。今、この子を手を放してはならないと、もう一人の自分が警告していた。
圧迫感はどんどん増してくる。同時に耳鳴りも強く烈しくなり、莉彩は思わず途中で意識を手放した。
意識が闇に呑み込まれてゆく。一面の暗闇の中で、莉彩は確かに見た。
頭上に煌々と輝く満月。蒼ざめた満月が一条の光を投げかけている。
妖しく輝く月を見ながら、莉彩の意識は深い底なしの闇へと転がり落ちてゆく。
