
約束~リラの花の咲く頃に~ⅢLove is forever
第9章 MooN Light
「良いか、私はそなたをけして許さぬ。私をこれ以上はないというほど手酷い形で裏切ったそなたを許しはしないだろう」
徳宗が乾いた笑いを洩らす。
「実に、実に愚かな男だ、私は。かつて二十四年前、伊淑儀が私を裏切り他(あだ)し男と姦通したというのは全くの偽りで、大妃の策謀だった。私はその時、伊淑儀に死を言いつけ、それは生涯に渡って痛恨の極みとなった。それが、今度は伊淑儀よりも愛することのできる女と漸くめぐり逢えたと思えば、今度は女に本当に裏切られ、他の男に妻を寝取られることになるとは! 全く、実に愚かで間抜けな男であることよ」
莉彩はひたすらうつむいて、徳宗の言葉を聞いていた。自らを自嘲するかのような言葉は、穏やかで明るい彼には全くふさわしくなかった。しかし、たとえ耳を塞いでしまいたい言葉であったとしても、莉彩は聞かなければならない。
徳宗にそれだけの言葉を言わせ、追いつめたのは他ならぬ自分なのだ。たとえ、徳宗のために、我が子を守るためにやむなくついた嘘だとしても。
徳宗は憎悪と妬心に燃える烈しい瞳で莉彩を見つめていた。
徳宗が乾いた笑いを洩らす。
「実に、実に愚かな男だ、私は。かつて二十四年前、伊淑儀が私を裏切り他(あだ)し男と姦通したというのは全くの偽りで、大妃の策謀だった。私はその時、伊淑儀に死を言いつけ、それは生涯に渡って痛恨の極みとなった。それが、今度は伊淑儀よりも愛することのできる女と漸くめぐり逢えたと思えば、今度は女に本当に裏切られ、他の男に妻を寝取られることになるとは! 全く、実に愚かで間抜けな男であることよ」
莉彩はひたすらうつむいて、徳宗の言葉を聞いていた。自らを自嘲するかのような言葉は、穏やかで明るい彼には全くふさわしくなかった。しかし、たとえ耳を塞いでしまいたい言葉であったとしても、莉彩は聞かなければならない。
徳宗にそれだけの言葉を言わせ、追いつめたのは他ならぬ自分なのだ。たとえ、徳宗のために、我が子を守るためにやむなくついた嘘だとしても。
徳宗は憎悪と妬心に燃える烈しい瞳で莉彩を見つめていた。
