
約束~リラの花の咲く頃に~ⅢLove is forever
第1章 邂逅~めぐりあい~
ホウ、見違えたな」
莉彩を見るなり、男が眼を瞠った。
莉彩自身はあまり見たことはないけれど、莉彩の母は大の韓流ファンで、月に数本はDvDを観る。母が夢中になって観ているのを傍で見たことがあって、その時代の女性の座り方も朧げながら記憶にあった。
何とか見様見真似で片膝を立てて座ると、男は声を上げて笑った。
「何だ、座り方も堂に入っているな」
愉しげに笑う男を前に、莉彩は小さく息を吸い込む。
「先ほどの話だけど」
莉彩が言いかけると、男がすっと表情を引きしめた。
何から説明すれば良いのだろう。莉彩は少し躊躇った末、訥々と話し始めた。
「私はこの時代の人間ではないの。その、何と言えばよいのか、多分、タイムトリップが起こってしまって、一時的に自分の住む時代からこの時代に飛ばされてしまったんだと思う」
「たいむとりっぷ?」
男が初めて文字を憶える子どものような顔で繰り返す。
「そう、タイムトリップ」
莉彩は少し考え、言い換えた。
「あなたに理解しやすいように言えば、時間旅行といった方が良いかもしれない。その言葉のとおり、時間―即ち、幾つもの時代の流れを船に乗って旅してきて、たまたまこの時代に辿り着いたということかしら」
「理論的には判るが、俄には信じがたい話だ」
男が首を振った。
「つまり、そなたが生きていた時代は、私たちの生きる時代よりも更に先の時代、未来ということか?」
「そういうことになるわね。私は、あなたよりもはるか先、気の遠くなるような未来から来た人間。もちろん、私も最初は何かの冗談かと思ったけれど、どうやら、これが現実みたい」
莉彩は力なく笑った。またしても涙が溢れそうになってくる。
「泣くな。そなたがこの時代にいる限り、私はできるだけのことをしよう。住む場所も何もかも心配はしなくて良い。だから、そのように暗い顔をするな」
男の言葉には心からの労りがこもっている。
莉彩を見るなり、男が眼を瞠った。
莉彩自身はあまり見たことはないけれど、莉彩の母は大の韓流ファンで、月に数本はDvDを観る。母が夢中になって観ているのを傍で見たことがあって、その時代の女性の座り方も朧げながら記憶にあった。
何とか見様見真似で片膝を立てて座ると、男は声を上げて笑った。
「何だ、座り方も堂に入っているな」
愉しげに笑う男を前に、莉彩は小さく息を吸い込む。
「先ほどの話だけど」
莉彩が言いかけると、男がすっと表情を引きしめた。
何から説明すれば良いのだろう。莉彩は少し躊躇った末、訥々と話し始めた。
「私はこの時代の人間ではないの。その、何と言えばよいのか、多分、タイムトリップが起こってしまって、一時的に自分の住む時代からこの時代に飛ばされてしまったんだと思う」
「たいむとりっぷ?」
男が初めて文字を憶える子どものような顔で繰り返す。
「そう、タイムトリップ」
莉彩は少し考え、言い換えた。
「あなたに理解しやすいように言えば、時間旅行といった方が良いかもしれない。その言葉のとおり、時間―即ち、幾つもの時代の流れを船に乗って旅してきて、たまたまこの時代に辿り着いたということかしら」
「理論的には判るが、俄には信じがたい話だ」
男が首を振った。
「つまり、そなたが生きていた時代は、私たちの生きる時代よりも更に先の時代、未来ということか?」
「そういうことになるわね。私は、あなたよりもはるか先、気の遠くなるような未来から来た人間。もちろん、私も最初は何かの冗談かと思ったけれど、どうやら、これが現実みたい」
莉彩は力なく笑った。またしても涙が溢れそうになってくる。
「泣くな。そなたがこの時代にいる限り、私はできるだけのことをしよう。住む場所も何もかも心配はしなくて良い。だから、そのように暗い顔をするな」
男の言葉には心からの労りがこもっている。
