
約束~リラの花の咲く頃に~ⅢLove is forever
第1章 邂逅~めぐりあい~
大抵の人ならば、莉彩を端から気違い扱いするのがオチだろうに、この男はちゃんと莉彩に向き合い、真剣なまなざしで語り適切なアドバイスをくれようとしている。
しばらくして、男はそろそろ家に戻らねばならないと言って、帰っていった。
部屋を出ようとした男の背に、莉彩は思い切って声をかけた。
「さっきは、ごめんなさい。帰りたいのかって訊かれた時、つい感情的になってしまって。あなたはこの国のこの時代に住む人なのに、その人の前であんなに取り乱すべきできではなかったと思うの。だって、この時代には、あなたのように親切で優しい人だっているんだもの」
男が口を開きかけ、少し逡巡を見せた。
「そなたが帰りたいと願うのは、やはり―」
が、男は薄く笑い、首を振った。
「いや、止めよう。莉彩、先刻紹介した臨尚宮は私の母(オモニ)も同然の人だ。そなたのいた時代に帰ることができるその日まで、遠慮なく暮らしなさい」
茫然とする莉彩の前で、扉が静かに閉まった。
しばらくして、男はそろそろ家に戻らねばならないと言って、帰っていった。
部屋を出ようとした男の背に、莉彩は思い切って声をかけた。
「さっきは、ごめんなさい。帰りたいのかって訊かれた時、つい感情的になってしまって。あなたはこの国のこの時代に住む人なのに、その人の前であんなに取り乱すべきできではなかったと思うの。だって、この時代には、あなたのように親切で優しい人だっているんだもの」
男が口を開きかけ、少し逡巡を見せた。
「そなたが帰りたいと願うのは、やはり―」
が、男は薄く笑い、首を振った。
「いや、止めよう。莉彩、先刻紹介した臨尚宮は私の母(オモニ)も同然の人だ。そなたのいた時代に帰ることができるその日まで、遠慮なく暮らしなさい」
茫然とする莉彩の前で、扉が静かに閉まった。
