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約束~リラの花の咲く頃に~ⅢLove is forever

第4章 約束

 二十一世紀の現代社会には日々、様々な事件が起こる。人々はいつまでも一つの話題に気を取られていることはなく、莉彩の失踪事件もまた、直に忘れられ口の端に上ることもなくなっていった。
 今、二十歳になった莉彩は、長いストレートヘアを風に靡かせながら、ゆっくりと砂利道を歩いていた。
 道の両側にはリラの樹がずらりと植わっていて、この並木道は観光名所としても名を知られ、〝リラの小道〟と呼ばれている。
―莉彩、きっとまた、ここで逢おう。私は待っている。いつまでも、この場所でそなたを待ち続ける。
 十年後、必ずこの場所で逢おうと言った男。
 莉彩の耳奥で懐かしい男の声がありありと甦る。
 私の心を揺さぶるたった一人のひと。
 別れても別れられないけれど、でも別れなければならない人。心の中心を見事に射抜いて私の人生の中に飛び込んできた人。
 めぐり逢った瞬間から、ずっとずっと一緒にいたかのような不思議な気持ちにさせてくれた人。
 ―私の心を根底から覆した、たった一人の人。
 莉彩は空を見上げ、四月の陽光に眩しげに眼を細める。
 莉彩の眼から澄んだ雫が溢れ出し、白い頬をころがり落ちていった。

(to be continued。。。)

 ☆お読み頂きまして、

 ありがとうございます。

 この作品は明日から第2部へ

 入る予定です。

 もし莉彩と王様のその後を知りたいと思って下さったら、
 お読み頂ければ、嬉しいです。
 ここまで拙い作品を応援して
 頂きましたことをお礼申し上げ
 ます。 作者より☆

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