diary
第4章 hospital
「橋本さん、橋本紗花さん。2番診察室へお入りください」
はぁ呼ばれた……行きたくない
私は盛大なため息をついてしまった
楓は私の背中をポンポンと撫でたあと少し背中を押して勇気づけた
「俺はここで待ってるから。頑張っておいで」
そして私は看護師さんに促されるまま渋々診察室へと入った
診察室に入るとすぐに明るめの挨拶をする声が聞こえた
「おはようございま〜す、こちらの椅子にかけてくださいね〜、今日はどうされましたか〜?」
私は促されるまま椅子に座ってずっと下を向いていた
診察室に少し沈黙の時間が流れる
「あれっ?君って昨日の屋上の子?」
えっ?まさかあの医者?
私はそう思って顔を上げてしまった
「やっぱり!昨日の子か〜!あの後ずっと心配してたんだよね、それでえっと問診票見ると全然熱が下がらないね〜、今39.6か、ちょっとキツイねこれは。座るのキツくない?キツイならベットに横になってもいいけど」
別に横になるほどでもないかな。まだ座っていれるし
私はそう思って首を横に振った
「OK、じゃあ早速胸の音聞いていくね〜、スーハーって深呼吸するよ〜」
先生はシャツの下から聴診器を入れて念入りに胸の辺りの音を聞く
この人が私の胸の音を念入りに聞くのにはわけがある。昨日胸を押えて床にうずくまる私を見ていたから
「ん〜、次は背中の音聞かせてね〜」
先生がそう言うと看護師さんによって椅子をぐるっと回され背中の音を聞かれた
「よしいいよ〜、次はお口見せてね〜、あ〜ってするよ」
また私は看護師さんに椅子をぐるっと回され正面を向かせられると木の板の棒とライトを持って待ち構えた先生と目が合った
恐る恐る口を少しだけ開ける
「上手だね〜でもちょっとごめんよ〜」
そう言って木の棒で舌を少しグッと抑えて喉の奥を見た
私は反射的にオエッとなってしまった
「ごめんごめん。終わったよ〜頑張ったね〜」
そう言ってこの先生はニコッと笑った