
革靴を履いたシンデレラ
第5章 魔女のタマブクロモドキ
「ちょっとお兄ちゃん、またうちのニーナを泥棒したでしょう!!」
腰に手を当てて大きな声を出しても彼から返事はない。
「いい加減連れ込むのは、女の人だけに」
「うるさい」
毛布の隙間から長い腕が伸び、クレアが声を上げるまもなくベッドに引きずり込まれる。
「ちょ!!?」
「……朝から…ギャンギャンと…まだ飯もらってないのか……」
寝ぼけたシンデレラが手触りで感触を確かめる。
フワフワした巻き毛に肉付きの悪い体。
これは確かニーナか。 彼がむにむにお腹や胸を撫で、うとうとと睡魔に誘われる。
「いい子だから……大人しくしろ…そんなんじゃ…近々嫁に行く……クレアも、困るだろう」
「待っ…どこ、触っ!」
がっちりと抱き込まれ、怒りにワナワナと身体を震わせるクレア。
「ハイハイ、よしよし……」
直後、彼が再び寝入る気配がした。
────ぐう。
「この……っ……寝ぼけんのもいい加減にしなさいよ! このスケベ!!」
スパーン!!
と、いい音を立て、彼の腕から這い出したクレアがシンデレラの頭をはたいた。
