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革靴を履いたシンデレラ

第5章 魔女のタマブクロモドキ


その後、緊張した面持ちで腕を伸ばし、手のひらを上に向けた、ダーマの手を取った。

一方、彼女は余裕ありげな仕草で足を組む。

「思うように動けないでしょお? 髪というのは最高の呪術の素材よお。 跪いて手にキスをしなさい」

「………」

上にあげた視線に不快感をにじませたシンデレラがダーマの手指に口付ける。

「ホホ。 二年振りかしらねえ、アタクシの誘いを断った罪は重くってよお。 いくらいつも美人に囲まれてるからって。 偶然あの娘に会って思い付いたの。 調べたらアナタの幼なじみって聞いた時は胸が高鳴ったわあ」

「色々と勘違いをしてるようだが、一つ聞く。 クレアに何かしたのか?」

「あの娘ねえ。 何でも、もうじき嫁ぐというのに、性的なことが怖いのですってえ? その内に美人になりそうで癪だったから、ま、アタクシが彼女の悩みを取り除いてあげたってわけ。 階下の男たちに与えて、たっぷりと良さを教えてあげたの」

「何も知らないあの子を……よってたかって弄んだのか」

よりによってクレアに。 シンデレラの胸の内に言いようのない感情がこみ上げる。

「まああ、人聞きの悪い。 髪をもらったって言ったでしょお? 怖がったのは最初だけ。 最後は嬉しそうに自ら腰を振っていたのよお。 アナタにも見せてあげたかったわあ」

「俺がお前を嫌った理由はいくつかあるが、一番はお前のそういう性根がみえたからだ」

全身から侮蔑をあらわしたシンデレラに、ダーマはさらに嬉しがって高笑いした。

「ホホホ。 アナタも下の男たちのように、アタクシのコレクションになるのよお。 全て美しくて屈強な者を選んだの。 圧倒的な美に抗える者なんていないわあ。 アナタの姉様も今ごろは、さぞや楽しんで」

「ないわよ。 何あの人たち? 突然私の肩を抱いてきて、失礼だわ」

プクーと頬を膨らませたルナがズカズカと足音けたたましく部屋に入ってくる。


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