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革靴を履いたシンデレラ

第1章 シンデレラの優雅な一家


シンデレラの瞳は緑と黄身がかった茶色で不思議な色彩をしていた。
一点を見つめる際には妙に鋭く……それは獲物を狙う肉食動物を思わせる。
そんな彼に見入られ、フラフラついてくる女は後を絶たない。

彼女たちは勝手に家に押し入り、高価なプレゼントを置き去りにする。
そして彼の身の回りや家の事に世話を焼きたがるのだ。

それを迷惑だ、と言い切るのは貧乏な一家には難しかった。


(うーん。 目が合うだけで女性が釣れるなら、いっそのこと……?)

腕を組んだ姉は頭を捻って画策した。

「姉様、眉間にシワなんか寄せて。 村一番の美人が台無しよ」

「そんなのいつの話よ。 私なんか、もうとうが立って良いとこ行かず後家……そんなことよりシンデレラだけじゃなく、ルナ。 貴女もだわ。 せっかくの適齢期を」

「え、なにか言って?」

振り向いたルナは血まみれのスッポンの腸らしきものを手からぶらさげニコニコと微笑んでいた。

(………やっぱりここはシンデレラに頑張ってもらわなくっちゃねえ)

ほう、と再びため息を吐いた険しい表情のアンリはテーブルに肘をつき、その後はっとして眉の間を指で押さえ、スリスリと伸ばすのだった。



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