
革靴を履いたシンデレラ
第6章 もう一人の魔女*
「占いみたいなのはしないの? あの人みたいに」
「人の運気をみると、悪いこともみえるから。 それを人に伝えたくはないし、だからって嘘もつきたくない。 ただ、うーん? 自分が助けられることだけはみるかな」
「そう。 私、貴女みたいな人、好きだわ」
「ふふ。 ありがとう、私も。 ダーマを懲らしめてくれたお礼と言ってはなんだけど。 クレアさんはとっても女らしい子。 シンデレラ、彼女に対して今朝みたいな言動は止めなさい」
「はあ、イザベラには敵わないな……」
シンデレラがバツが悪そうに目線を下に下げる。
一気にイザベラと打ち解けたルナは、早速気の置けない様子で彼女と歩く距離を縮めた。
人には一緒にいて明るくなるタイプとそうでないタイプがいる。
イザベラは間違いなく前者の人間だと、ルナは直感で理解したのだ。
「ダーマの事もよく知ってるのね?」
「彼女とは全く畑違いでもないから……中途半端な力で悪さをされるのは、いい気分じゃない。 私たちみたいなのは、もっと感覚を研ぎ澄ませて、内面に目を向けるべきなのに。 目に見えるものばかり欲しがるって皮肉な話よ」
ルナの方も、異様な程、美に固執していた彼女を思い出し、頷いた。
とはいえ。
イザベラは間違いなく美女である。
肩までの白っぽいブロンドに、抜けるような碧眼。
外見もさることながら、彼女の周りがキラキラと輝いてみえるのは気のせいだろうか。
シンデレラもなのだが、二人で歩いていると、ルナでさえ眩しくて目が疲れるほどだ。
シンデレラのこんな顔を見たのはいつぶりだろう。
姉として感慨深いし、どうやらこの二人は親密な関係らしい。 それぐらいはルナにも分かった。
