
革靴を履いたシンデレラ
第6章 もう一人の魔女*
(年齢はアンリ姉さんより上かしら。 それでも、こういう人がシンデレラと結婚してくれればいいのに?)
シンデレラはリーシャの件を引き摺っている。
ルナは頭の中で自分の願望や考えを整理し、自分がとるべき行動を組み立ててみる………が、如何せん、彼女はそんな器用なことは苦手な性格である。
「あっ、ねえ? 近々うちで食事会をしようと思うの。 こう、クレアも呼んで楽しく? イザベラさん、貴女にも来て欲しいわ」
「……ええ、是非」
話せば話すほど頭の中が空っぽになっていく。
「私、そうそう。 弓の弦を新調する予定があるの、忘れてたわ!」
目を泳がせたルナは一刻も早くこの場から逃げたくなった。
「姉さん、弦ならいつでも」
「ダメよ、帰り道に鹿が出るかもしれないし! シンデレラ、あの。 今日は家に帰ってきても、お手伝いはなくってよ。 たまには外食してきたらどうかしら」
「………」
二人の怪訝そうな視線が突き刺さる。
あああ、もうダメ!! と思ったのかはどうか知らないが、ルナは後ろ向きでダッシュし始めていた。
「じ、じゃあ、ごめんなさいね。 お土産は申し訳ないけどお任せするわ。 私、これで!!」
しかもここは器用にもしっかりと通行人を避けている。
彼女には後頭部にも目があるのかな? 割と本気でイザベラは思った。
