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革靴を履いたシンデレラ

第7章 蒼い瞳をもつ理知的な女*


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そんな情事から数日後。

イザベラはその時、ハーブや薬草などを測り、店で置くお茶の調合をしていた。


イザベラが王国から二つ離れた街、フォードリアに越してきて三年が経とうとしていた。

生まれてから16回の引越しにしては長くいる方だ。

「……ああ、またダーマの思念だね」

はあ、とため息を吐き、憎悪や嫉妬、怨恨で渦巻く彼女の敵意を脳内で消化しようとする。
実のところ、イザベラはダーマが嫌いではない。

その遠くで、近頃、自分を求める二つの想いがある。

好意と興味、それが余り余って少しの緊張……他人の長所だけを越し取る、稀有な能力をもった彼の姉。
それから、感謝と曇りない愛情を捧げてくる彼。

色恋に関する不純物を一切取り除き、目の前の女を愛し抜くという芸当を、シンデレラは見事にやってのけた。

思い出すたびに、イザベラの体が熱くなるのは無理もなかった。


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