獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第2章 夢の世界の入り口は
「ま、言い方を変えれば夫婦とでも何とでも。 俺は今から仕事だが、お前のことは世話の者に頼んである。 ああ、それからお前を抱いた理由はもう一つ」
立ち上がったセイゲルさんがドア口に向かって内側にそれを開いた。
そこに居たのは若いというか幼い獣人二人………と。
「シン!!?」
白い毛をした私の家族。
両手を広げた私に走ってきた彼は、いつものようにひと言ワン!と吠えた訳ではなく。
「ご主人!」
ハッキリとした発音で喋り、嬉しそうに私を見あげた。
「………え?」
その後すぐに、控えていた獣人の二人が頭を下げて挨拶をしてきた。
「琴乃様、よろしくお願いします。 私はメロル」
「セイゲル様より身の回りのお世話を仰せつかっています。 シリカと申します」
「!????」
どうしよう。
獣人の子が可愛い。
何に驚いて良いのか分からないが、とりあえず私はベッドの床に座っているシンを見つめた。
「………シンってば、実は天才犬なの?」
戸口でくつくつ笑うセイゲルさんが説明を加えた。
「シンと言葉が通じるのは、お前に俺の体液を分けたからだ。 獣人は名の通り、獣と人、両方の性質を持つ。 シンのような犬の本来の仕事は、人間界で見所のある嫁を探し出すこと。 さっき少し話したな。 覚えてるか?」
ふるふると首を横に振り、体液。その言葉に私の顔が熱くなった。