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獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話

第2章 夢の世界の入り口は

私を見つめているシンが黒い瞳をうるうるさせてうんうんと頷く。

「私はご主人の性的嗜好も分かっているつもりです。 ご主人はしばしば獣人の動画を観ては彼らとの行いを想像してか、こっそりと自慰行為をしていましたね」

「………」

「先ほどもドアの向こうで歓喜の声をあげているご主人に私はこう、私はようやく幸運の橋渡しが出来たことだと感無…痛たたたたたたた」

思わずシンの口の両端をつまんで引っ張った私は、ここにあの獣人の二人やセイゲルさんがいないことに感謝した。
でも私、これからどうしよう?
「いひゃい、いひゃいれすぅ、ほしゅひん」平たい顔してジタバタしているシンをスルーし、考える。

「……お願いシン。少しの間、一人にして」

シンから手を離した私は頭からシーツを被った。
自分の身に降りかかった色々な出来事に、頭がついて来れないのが正直なところ。
これまでのこと、これからのこと。
シンはその場にしばらく佇んでいたが、やがて静かに部屋を出る気配がした。





広い広い部屋の中。
私はうとうとと微睡んでは目が覚めた。
枕に顔を押し付けて形にならない思考の中をさまよっていた。
なぜだか時おり泣きたくなった。
自分で選んで決めた将来は、実は作られていたものだった。

親がいなくなっても立派に生きていこう。
雲の上で見守ってくれている両親に恥じないよう強く。
そんな風に思っていた自分は、一体何だったの?

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