獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第2章 夢の世界の入り口は
いい匂いが鼻をついて頭だけ動かし、するとベッドの傍には、いつの間に皿に盛られたフレンチトーストとサラダが用意されていた。
電気式のポットと紅茶葉が入ったティーセットも置いてある。
私はコーヒーが飲めない。 こんなのもシンが教えたのだろうか。
もそもそと起き上がってパンをひと口齧ったが、甘味が少なく美味しい。
卵液でふわっとしたパンの上にカリカリのベーコンがのっている。
ただし両手じゃないと持てない。
家具にしろパンにしろカップにしろ、ここの物は全て大きいらしい。
自分が小さく感じるのも、それを不安に思うのも初めてのことだった。
家に帰りたいと、そう思った。
段々と気持ちが落ち着いてポツリと独り言が口をついて出る。
「私、誰かの嫁になるために生きてきたわけじゃない」
何よりも相手を選ぶ権利さえないなんて。
獣人だろうと何だろうとこんなのは間違っている気がした。
すっくと立ち上がった私は、これも獣人の彼らが用意してくれたであろう服に着替えた。
いくつか選べるようになっていて、動きやすいズボンを手に取った。
サイズがピッタリなのはやはり若干気にさわる。
「琴乃様。 お食事はお済みですか?」
トントントン、というノックの後に顔を覗かせたのは二人の間でも年輩の、確かメロルという獣人。
「はい、美味しかったです。 ご馳走様でした。それで私、帰ります」
「え? ええと……それは、どういう……?」
ペコーンとお辞儀をし、顔を上げるとメロルくんがぽかんと口を開けて私を見ている。
電気式のポットと紅茶葉が入ったティーセットも置いてある。
私はコーヒーが飲めない。 こんなのもシンが教えたのだろうか。
もそもそと起き上がってパンをひと口齧ったが、甘味が少なく美味しい。
卵液でふわっとしたパンの上にカリカリのベーコンがのっている。
ただし両手じゃないと持てない。
家具にしろパンにしろカップにしろ、ここの物は全て大きいらしい。
自分が小さく感じるのも、それを不安に思うのも初めてのことだった。
家に帰りたいと、そう思った。
段々と気持ちが落ち着いてポツリと独り言が口をついて出る。
「私、誰かの嫁になるために生きてきたわけじゃない」
何よりも相手を選ぶ権利さえないなんて。
獣人だろうと何だろうとこんなのは間違っている気がした。
すっくと立ち上がった私は、これも獣人の彼らが用意してくれたであろう服に着替えた。
いくつか選べるようになっていて、動きやすいズボンを手に取った。
サイズがピッタリなのはやはり若干気にさわる。
「琴乃様。 お食事はお済みですか?」
トントントン、というノックの後に顔を覗かせたのは二人の間でも年輩の、確かメロルという獣人。
「はい、美味しかったです。 ご馳走様でした。それで私、帰ります」
「え? ええと……それは、どういう……?」
ペコーンとお辞儀をし、顔を上げるとメロルくんがぽかんと口を開けて私を見ている。