獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第2章 夢の世界の入り口は
少し黒っぽいグレーの毛色の彼は、セイゲルさんのミニチュア版といった所。
しかし鼻が短めで目も垂れている。
人間と同様、彼らにも明確な違いがあるらしい。
「とりあえず人間の世界に戻ります。 将来のことをゆっくり考えたいんです」
「セ、セイゲル様からご説明を受けられたのでは? 一度ここに足を踏み入れた人間はもう戻れません」
私は困って首を横に捻った。
そう言われてもそれはここでの決まりごと。
私には強制されるいわれはないはずだ。
「それなら私は戻っても他の人に話しません。こんな不当な事がまかり通るなんておかしいです」
「え、ええええ?」
「では、お世話になりました!」
踵を返してスタスタ歩く。
ここは二階らしく、廊下に出るとすぐに下へと向かう階段が見えた。
「こ、琴乃様!!? ちょっと、待っ…シリカ!! シンさん来てえ!!!」
ずだだだだと慌ただしい足音がし、何事かとシリカくんとシンが走ってきた。
焦った顔のメロルくんが後ろから私の腕を取る。
「いけませんよ!! 女性が一人で外へ出るなんて」
引っ張られて私の足が止まる。
うぐぐぐ。 さすが獣人、力が強い。
「だ、だから! そんなどっかの国みたいな慣習はおかしいって思わないんですか? 少なくとも、私には合わないです」
一歩も前に踏み出せず、それでも踏ん張る私の前にシリカくんが回り込む。
「仕方がないのです。 番を持つ獣人の家には、精通前の召使いが選ばれます。 意味は分かりますか?」
「????」
精通……子供だけってこと?
でもごめん、言葉の意味しか分からない。
シリカくんも困った顔で私を見ている。
彼はメロルくんに比べるとキリッとした顔立ちで、耳が小さくクリーム色の長い毛をもっている。
こんな事態じゃなきゃ、是非彼のお腹を撫でたいものだ。
「ほしゅじん。 へイゲルひゃまです」
「へ」
足元をみると、器用にタブレットを口に咥えたシンがそれをポトンと床に置いた。
「何にしろ、まずはセイゲル様と話してください。 この世界でご主人の責任を負い、采配を決めるのはセイゲル様です」
しかし鼻が短めで目も垂れている。
人間と同様、彼らにも明確な違いがあるらしい。
「とりあえず人間の世界に戻ります。 将来のことをゆっくり考えたいんです」
「セ、セイゲル様からご説明を受けられたのでは? 一度ここに足を踏み入れた人間はもう戻れません」
私は困って首を横に捻った。
そう言われてもそれはここでの決まりごと。
私には強制されるいわれはないはずだ。
「それなら私は戻っても他の人に話しません。こんな不当な事がまかり通るなんておかしいです」
「え、ええええ?」
「では、お世話になりました!」
踵を返してスタスタ歩く。
ここは二階らしく、廊下に出るとすぐに下へと向かう階段が見えた。
「こ、琴乃様!!? ちょっと、待っ…シリカ!! シンさん来てえ!!!」
ずだだだだと慌ただしい足音がし、何事かとシリカくんとシンが走ってきた。
焦った顔のメロルくんが後ろから私の腕を取る。
「いけませんよ!! 女性が一人で外へ出るなんて」
引っ張られて私の足が止まる。
うぐぐぐ。 さすが獣人、力が強い。
「だ、だから! そんなどっかの国みたいな慣習はおかしいって思わないんですか? 少なくとも、私には合わないです」
一歩も前に踏み出せず、それでも踏ん張る私の前にシリカくんが回り込む。
「仕方がないのです。 番を持つ獣人の家には、精通前の召使いが選ばれます。 意味は分かりますか?」
「????」
精通……子供だけってこと?
でもごめん、言葉の意味しか分からない。
シリカくんも困った顔で私を見ている。
彼はメロルくんに比べるとキリッとした顔立ちで、耳が小さくクリーム色の長い毛をもっている。
こんな事態じゃなきゃ、是非彼のお腹を撫でたいものだ。
「ほしゅじん。 へイゲルひゃまです」
「へ」
足元をみると、器用にタブレットを口に咥えたシンがそれをポトンと床に置いた。
「何にしろ、まずはセイゲル様と話してください。 この世界でご主人の責任を負い、采配を決めるのはセイゲル様です」