獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第3章 未婚獣人たちの慰みもの*
そこから人間界へしれっと戻り、人生をやり直す。
ちょっとだけ癪だけれど、セイゲルさんのためにここの事は黙っておくつもりだ。
彼はちょっとだけ素敵だったし。
ちょっとだけ、あんなに死ぬほど気持ちよかったし。
「私って優しい」
いっそ自分も誰か褒めてくれないだろうか、と思いながら一つ目の門の前で歩を緩める。
ついてきた獣人たちも門が近くになるにつれ、諦めて引き返していくようだった。
扉の両脇を固める二人の門番を見上げる。
仕事柄だけあって強面の、キリッとした顔つきの獣人たちのようだ。
「珍しいな。 雌が一人か、通行証は持ってるか」
「一応聞くが、この先に何の用向きで?」
用向き?
顔は平静を装いながらも脳内でぐるぐる考える。
「……こちらとの植生についての違いの研究に」
我ながら適当超えて意味不明だ。
差し出した通行証を二人が覗き込んで、ほうほうと頷いている。
「全く分からんが、あの方の番だ。 さぞ重要なことなのだろう」
「犬は問答無用で通っていいぞ」
犬とセイゲルさん、強い。
でもなんで見張りの人が私のことを知ってるんだろう?
そんな疑問を頭に置きつつ、開かれた両扉をギクシャク通り、遠くなっていく後ろを振り向いた私は、得意になって腰に手を当てた。
来た時と同様、この区間には見張り以外の獣人の姿はない。
メロルくんたちによれば、この場所は兵舎などが集まっている区域で、通常は彼らは街の方に仕事へ出掛けているという話だった。
「ふっ、ガッバガバじゃないの」
「ご主人、下品です。 全く、そういう知識だけは旺盛なんですから」
シモのことかしら。
シンにたしなめられて少しばかり気を悪くする。
多少口うるさくとも、喋るシンは普段の私の、彼に対するイメージとピッタリだった。
彼がいてくれて良かったと心から思う。
「でもさ、向こうに戻ったら気をつけないとね? シンとお話するのは、家の中だけにしなくっちゃ」
「戻るとは……ご主人一体何を? もう気が済んだら帰りましょうよ。 私は大切なご主人だからこそ、若くして優秀な将校に就いていたセイゲル様に推したのですから」
シンがしぶしぶといった顔つきで歩きながら愚痴をこぼす。
「へ? あんな傲慢な……大して私のことなんてどうでもよさそうな人に、何で」
いいえ。 と、シンが私の言葉をハッキリ遮る。
ちょっとだけ癪だけれど、セイゲルさんのためにここの事は黙っておくつもりだ。
彼はちょっとだけ素敵だったし。
ちょっとだけ、あんなに死ぬほど気持ちよかったし。
「私って優しい」
いっそ自分も誰か褒めてくれないだろうか、と思いながら一つ目の門の前で歩を緩める。
ついてきた獣人たちも門が近くになるにつれ、諦めて引き返していくようだった。
扉の両脇を固める二人の門番を見上げる。
仕事柄だけあって強面の、キリッとした顔つきの獣人たちのようだ。
「珍しいな。 雌が一人か、通行証は持ってるか」
「一応聞くが、この先に何の用向きで?」
用向き?
顔は平静を装いながらも脳内でぐるぐる考える。
「……こちらとの植生についての違いの研究に」
我ながら適当超えて意味不明だ。
差し出した通行証を二人が覗き込んで、ほうほうと頷いている。
「全く分からんが、あの方の番だ。 さぞ重要なことなのだろう」
「犬は問答無用で通っていいぞ」
犬とセイゲルさん、強い。
でもなんで見張りの人が私のことを知ってるんだろう?
そんな疑問を頭に置きつつ、開かれた両扉をギクシャク通り、遠くなっていく後ろを振り向いた私は、得意になって腰に手を当てた。
来た時と同様、この区間には見張り以外の獣人の姿はない。
メロルくんたちによれば、この場所は兵舎などが集まっている区域で、通常は彼らは街の方に仕事へ出掛けているという話だった。
「ふっ、ガッバガバじゃないの」
「ご主人、下品です。 全く、そういう知識だけは旺盛なんですから」
シモのことかしら。
シンにたしなめられて少しばかり気を悪くする。
多少口うるさくとも、喋るシンは普段の私の、彼に対するイメージとピッタリだった。
彼がいてくれて良かったと心から思う。
「でもさ、向こうに戻ったら気をつけないとね? シンとお話するのは、家の中だけにしなくっちゃ」
「戻るとは……ご主人一体何を? もう気が済んだら帰りましょうよ。 私は大切なご主人だからこそ、若くして優秀な将校に就いていたセイゲル様に推したのですから」
シンがしぶしぶといった顔つきで歩きながら愚痴をこぼす。
「へ? あんな傲慢な……大して私のことなんてどうでもよさそうな人に、何で」
いいえ。 と、シンが私の言葉をハッキリ遮る。