獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第4章 →ひたすら雌の観察(仕事しろ)*
「おい、夫以外の男の舌技で潮を噴く淫乱女」
「………」
そしてとりあえず貝になることにした。
「最後のひと言がなけりゃ、トーマスと犯り殺してるところだ。 間に合ってよかったな?」
「え」
ぱちりと目を見開く。
冷静に淡々と話してくるセイゲルさんが余計に怖い。
「で、でもハリスさんって……口調もオジサンぽくって……?」
モゴモゴと口を動かしてる間、ピシャピシャお尻を軽く叩かれていた。
こ、怖い。
「お前んとこって上司をファーストネームで呼ぶのか? フルネームはセイゲル・ジェイズ・ハリス。 通行証に書いてあるだろ。それにあれは演技だ」
ふと。 コトノ・ジェイズ・ハリス……って、なんかの呪文か施設名と思っていた。
それはつまり、選択肢など初めから無く、すでに戸籍上は夫婦ということ?
私の疑問に答えるかのようにセイゲルさんが続ける。
「まあ、な。 子が出来れば正式に夫婦として役所へ届けるシステムだ。 だがそんな形式よりも基本、俺たちは死ぬまで一人の雌を愛する。 だから裏切られたら、それなりの報復はする。 それが自分の命と引き換えでもだ。 子供や籍はそのための手段だな」
「え、いや、重過ぎないですかそれ」
恋愛も結婚も命懸けとは。
自分はエラいことをしようとしていたらしいと思ってゾッとした。
あれ、でもそしたら何で彼はこんなことを?
「物事にいいとこ取りなんてある訳がないだろう。 お前は軽いのか?」
セイゲルさんの手のひらが私のお尻を優しく包む。
ドキドキする。
もしかしてこのまま外でなんて………
邪な想像をする前に、低いトーンの彼の声が壁の向こうから聞こえてくる。