獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第4章 →ひたすら雌の観察(仕事しろ)*
「それで琴乃? お前はそういう俺から逃げようともしたな?」
ギクリと私の身体が揺れる。
「……最初にきちんと話さなかったこちらも悪いか。 それはギリギリいいんだ」
ホッとした。
「とは、諸々頭で分かってはいてもな」
再びギクリ。
「シンから好みは聞いていたが、もしかしてお前は獣人なら誰でもいいのか?」
誰とも分からない獣人相手に、感じてイッてしまったことに対して言ってるのだろうか。
私は咄嗟に壁の方向に振り向き理由を伝えようとした。
そもそもあれは私が望んだことじゃなくて、ハリスさんもとい貴方が。
「ちっ、違…私は、セイゲルさんに……迷惑がかかると、言われたから!」
「だから分かってると言ってるだろうが!!」
グルルッと獣そのものの喉の音。
初めて耳にする獣人の苛立ちに体が竦んだ。
「あ、ぃあっ………!」
痛い、痛いよ!!
アソコにグリグリ押し付けられてるのは指の関節?
手の甲?
「お前を試すなんて最悪だと思うだろ? それでも他の男でこんなに濡れやがって。 隣で俺がどんな思いをしていたかわかるか」
「ひ……っ!……ごめっ」
硬い骨がグチャグチャ表面を掻き回す。
そしたら私、殺されるの?
怖さに歯がカチカチ鳴った。
けれど間もなく彼の手から力が抜けた。
同時に、まるで泣いてるようなセイゲルさんの呻きが喉から絞り出される。
「そりゃお前にとっちゃ俺はまだ他人も同然なのは分かってんだ。 でもどんなに、会える日を待ってたか……一緒にいたいのを堪えて、とりあえず落ち着かせようとしたのに」