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獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話

第6章 甘えたいっ*




次の日の夜は皆でリビングに集まった。

セイゲルさんが仕事帰りに、全員の分のケーキをお土産に買ってきてくれたからだ。
私にとって、向こうではめったに食べれなかった、ご馳走である。
話を聞くと、当初から獣人の三人は、ミーティングかコミュニケーションの場とでもいうのか。 時々こんな風に皆で集まって過ごしているのだそうだ。

私は昨晩寝室で感じた、セイゲルさんに対しての自分の不可思議な感情について考えていて、納得した。
まず見た目の安定感。
加えて昨晩垣間みえた内面の安心感。
それはセイゲルさんの、ダブルな包容力のせいなのだと。

そして私だけではなく、メロルくんやシリカくんも、何かとセイゲルさんに話を聞いて欲しがるようだ。
彼らのキラキラした瞳は私の時とは違うし、馴れ馴れしくも決してしない。
たまにセイゲルさんは、二人を褒めたり頭に手を置いたりするが、そんな時は彼らの尻尾がちぎれんばかりにブンブン激しく振られる。
これは何かに似ている。
犬ぞりとか野生の狼のドキュメンタリーでよく観た、イヌ科の群れだ。
思うに、ここでのセイゲルさんは雇い主というばかりでなく、彼らのボスなんだろう。

私はシンのお腹や頭をナデナデモフモフしながら、そんな彼らを興味深く観察していた。
耳の生え際と足の付け根を指先でくすぐる。 シンが気持ち良さげに目を細め、だらしなく口を開ける。
シンを家族みたいに思っている私には、分からない感覚だ。
おそらくシンも私のことをボスとは思ってないだろうし、むしろ逆に近いかもしれない。

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