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獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話

第7章 嫌いの影響

結婚の資格を持つ獣人だけが利用する、ということは……セイゲルさんも、そこに行ったことがあるかもしれない……?

「お察しの通りです。 獣人とは元々所有欲や性欲が強い生き物ですし、体も大きく力も強い。 もし初夜で人間の女性に無茶や無理強いをしたら、相手に恐怖感を与えたり怪我をさせて、せっかくの結婚が台無しになってしまいます。 そうさせないために、雄側には前もっての知識や加減というものを教えておく必要があるのです。 それはご主人もすでに、身をもって分かっているでしょう」

私は黙って頷いた。
セイゲルさんは裏切りを許さないと言った。
普段は穏やかな彼の内に棲まう激しさも知ってる。

獣人というものはもしかして、個人の強い欲というものを、厳しい規律や秩序を守ることで抑制しているのかもしれない。
性欲に限らず過ぎた欲というものは身を滅ぼす。 そしてそれは、生存のために進化した彼らの姿なのだろうか?

そんなことを思い巡らし、他方でやはり胸にチクリとしたものを感じないでもない。
女性をお金で買うという行為。
嫉妬も多分にあるのかもしれないけども、同性としては複雑だ。

「……そうだけど。 思ったよりも理屈では分かる話ではあったけど。 やっぱりちょっと、抵抗はあるよね」

シンがくるりと私にお尻を向け、本格的なお昼寝に入ろうとする前にひと言呟く。

「それがセイゲル様が私に訊けと言った理由ですよ」

シンの白いお尻を眺めながら私はほう、と沈んだため息をついた。
なんにしろ。
私みたいな人間の女性が働く場所はここにないということね。

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