獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第7章 嫌いの影響
「セイ…ゲルさん、メロルくんが……待ってます」
ドア一枚隔てた場所にいるメロルくん。
私の方は恥ずかしいのがじわじわくる。
とりあえず起き上がろうとするも、なぜだか私の腕を押さえる彼の手に力がこもる。
「無視だこっちは四日も我慢したんだ」
ルルルッと喉から漏れる低い唸り声。
本日のセイゲルさんは獣寄りだ……こんな彼さえドキドキしてしまう私も大概だけれども。
「メロル、茶でも出して待たせとけ」
「そ、そんな。 この後16時にもお客様がみえられるのに」
「セ、セイゲルさん、ちょっ、あの」
メロルくんが困っている。
セイゲルさんのじっとりした視線が私の身体から離れない。
乱れた衣服の隙間から覗いている肌。 まるでそこに隠されたものを、暴くことを試みているかのように。
だけどここで止めなかったら、きっと戻れなくなってしまう。
理性を総動員させて片手で自分の体を隠すと、セイゲルさんが不満そうな目で私を見下ろした。
「待たせとけばいい。 とりあえず15分でさっさと済ませてやる」
そう言いながら彼が文字通り、食いつかんばかりに私に覆い被さろうとした。
「っセイゲルさん!!」
「……なんだ」
彼の手が私の腿を這う。
焦りを滲ませた声で私が抗議した。
「そ、そんなの、は…嫌っ!」
……のに、彼はこの期に及んで止まらず続きをしようとする。
捻ろうとするウエストを片手で押さえ付けてくる。
「まさかここでオアズケか? お前ももう……ちゃんとイカせてやるし」
「そういう問題じゃない! そんなセイゲルさんは嫌いです!!」
セイゲルさんの三角耳がピクリと動き、ここでやっと彼は私とまともに目を合わせた。
「………は? キラ…」
何だかとてつもなくショックを受けたみたいな、彼の顔だった。