獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第7章 嫌いの影響
「そうやって、恋愛に関しては、まるで臆病な子供のままお前は今日まで来た。 愛されないと愛せないし、ベタベタに甘やかされないとすぐ不安になる。 でもな、俺に見合うならそれぐらいでいい。 恋愛も性欲も承認欲求もごちゃ混ぜにして、全部こっちに寄りかかってくるぐらいじゃないと、獣人の嫁には釣り合わねえ。 すべてこっちの計算の元だ」
「セイゲルさんが何を言ってるのかさっきからさっぱり分かりません」
「そうか?」
彼の口元が薄らと笑む。
「セイゲルさんはそんな姑息な人じゃないし、他人を操作とか……計算高くもない。 そもそも私は綺麗なんかじゃないです。 男性と付き合ってみても、素直じゃないとか可愛くないとか散々でした。 っとにかく、私のことはどうでもいいです。 ただセイゲルさんを侮辱して欲しくないです」
一気にまくしてながらもその実、私はどこかで焦っていた。
私は彼のことをどこまで知ってるんだろう?
自分のことを何でも知ってる彼に比べて。
それでも私は今まで見てきたセイゲルさんを信じる以外に道がない。
私にはこの人しかいないんだから。 こんなに好きになった人はいないんだから。
願いに似た思いだった。
「そっか……ま、俺はそのうち、お前にそう思われても仕方ないって思ってた。 俺はその前にお前を助けようと思えば助けられた。 それこそ規律を破ってでも、手を差し伸べてやりたいとずっと思っていた。 だが結局出来なかったんだ」
座っている彼は私と同じぐらいの目の高さ。
少しだけ私の目線を避けながら、淡々と話すセイゲルさんはどこかが痛そうな顔をしている。