獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第8章 終章「覗きとは違います、これは使命なのです!」*
────それにしても今日のセイゲル様は、いつものように饒舌でも、獣人らしく荒々しくもありません。
交尾、いえ。 性行為というもの。 それは男女両者において、大変重要な位置を占めるため、私はいつも仔細に現場を観察していました。
ご主人は男性不信気味ですが、他方で、性交に至るまで心を許した相手に対しては、そうでもありません。
むしろ以前お付き合いをしていた人間相手には、若干の物足りなさを感じていたように思えます。
ご主人はセイゲル様と出会うまでは、自慰以外で絶頂を得たことはありませんでした。
こういってはなんですが、ご主人とは実は可愛がられたい願望が強く、ややMよりの性癖なのです。
そういう意味でもセイゲル様は最適で、私は自分の審美眼に改めて信頼を置い────と、考えごとをしている場合かと、はっと気付いたので、再び寝室へと目を移しました。
その時に私は、こちらを見ているセイゲル様とガラス越しに目が合いました。
私の見た目は多少変わりましたが、セイゲル様には特段驚いた様子はなく、ただ片方の口の端を上げただけでした。
いつものように好きにしろ、とでも言いたげな表情でした。
「セイ…ゲルさ……わ、私」
ご主人が蕩けた声をセイゲル様の耳に吹きかけます。
ピク、とセイゲル様の耳が反応しましたがそれを避けるように裏側へと向けました。
その代わりにセイゲル様は、表情に余裕さえ見せてご主人を可愛がります。
「悦くなってきたか。 クリトリスの裏側も腫れてきたな。 ここを舌で押した時も」
「……っあ!」
「そうやってお前の腰が跳ねていた。 感じやすいお前は可愛い」
顔を下げ、ご主人の髪の生え際やこめかみを舐めるその姿はまるで父娘のようです。
ただしセイゲル様の指はご主人の官能を引き出すのに余念はありません。
夜着の裾がはらりと捲れ、秘部を弄んでいる様子が見えました。
挿入している中指で膣粘膜を刺激し、親指の先はクリトリスの周りをくすぐっています。