獣人さんが住む世界で大っきいカレに抱き潰されるお話
第8章 終章「覗きとは違います、これは使命なのです!」*
ご主人の腰を掴み、抽挿を調整するセイゲル様は時おり息を大きく吐き、快感を調整しているようでした。
「あうっ、ひぁあ”っあっ…っぁぁっ…あんっ」
ご主人の目から、次から次へと涙が零れ落ちて頬を伝いました。
頬の輪郭や顎まで辿り着いたそれは行き場をなくし、パタパタパタパタと、セイゲル様の腕や衣服に滴り落ちました。
「やぁぁ…あっ…いやっ、い、行かない、で」
ご主人の視線はセイゲル様に注がれていましたが、その瞳は違う者を追っているようでした。
そもそも意地っ張りで恥ずかしがりのご主人の方から誘うのは珍しいことです。
ご主人は早くセイゲル様と本当の家族になりたいと思ったのかもしれません。
ですが他方で、身の内に溢れそうになる、自身の悲しみから逃れたかったのでしょう。
セイゲル様はご主人の頬を舌で撫で、塩辛い体液を吸い取ろうと試みます。
「……俺はきっとお前が泣ける場所になる。 こんなことをしなくってもだ。 だが、今はいい」
ご主人にはセイゲル様の声は耳に入ってないようでした。
「いや…ど、うして……あっ、どうして…っあっぁあ……」
「好きなだけ泣けばいいんだ」
一定の速さで波立つ快楽の中で、ご主人は悲しみに浸ります。
涙の間に吐かれる浅い息は忙しなく。
穿たれる熱は、心が沈み切る前に、すくい上げる腕のごとく、ご主人を踏みとどまらせます。
それは愛され、抱かれているという現実です。
獣人の身体に完全に身を委ねて、泣きじゃくるご主人は幼く見えますが、夜着の中ではさぞかし淫靡な光景が繰り広げられているに違いありません。