リバース!(R-18)
第1章 思い出したくない出会い
「一応ここまで来たけど、想像以上の落ちこぼれだったな。いくら学内で三位に入る俺でも、これはお手上げだ」
「なっ…」
言い返しかけたところで、相手をよく見てみる。グランは白基調の、袖口と襟元に金の刺繍があしらわれた魔導服を身にまとい、銀でできた紋章を左胸につけている。紋章は、彼が上位の魔導師であることを示していた。
…鼻につく態度と見下したタレ目が癪だが、確かにグランの言うことは尤もで、自分とは比べ物にならないくらい優秀なようだった。
うう…。何も言い返せない。
「俺も忙しいんでね。依頼もろくにこなせない落ちこぼれと組む理由はないな。ていうか」
グランがルーシーのこめかみの辺りに視線をうつす。
「おまえ、髪に米粒ついてるけど?」
言われて、視線の先に手を伸ばすと、確かにそれらしき感触があった。
「おまえみたいなちゃらんぽらんと行動を共にするなんて絶対無理。落ちこぼれ以前に、女性としてどうなの。一瞬たりとも一緒にいたくない」
くるりと背を向け、歩き出す。
「あ、あたしだってごめんよ!」
こんな男と組むなんてまっぴら。
「そりゃよかったよ。簡単にすみそうで」
グランはローブをはためかせ、あっという間に去っていった。
「…なんなのよ」
なんで初めて会う男にあそこまで言われなきゃならないのよ…。
だらりとうなだれると、一気に暑さが戻ってきたルーシーは、気だるげに扉を閉めた。
…別に大したことでもなかったのに、なんだかすごく疲れた気がするわ。
と、ルーシーは床に一枚の紙ビラを見つけた。
足の指で器用につまみ、拾い上げると、内容を確認する。
「なになに…『力だめし!街最強は誰だ!?』。…この前広場で配ってたやつね」
ああ、とルーシーは思い出す。読み進めると、次の一文に目を止めた。
「『あなたの腕っぷしの強さを見せつけよう!優勝者には賞金あり』…賞金あり!?」
「これは参加するしかないわね!」
ルーシーはフフフとほくそ笑むと、日時を確認する。
「って今日じゃないの!場所は…酒場ね、オッケー!」
そう言うと、ビラを手に、ものすごい勢いで自室を飛び出した。
「なっ…」
言い返しかけたところで、相手をよく見てみる。グランは白基調の、袖口と襟元に金の刺繍があしらわれた魔導服を身にまとい、銀でできた紋章を左胸につけている。紋章は、彼が上位の魔導師であることを示していた。
…鼻につく態度と見下したタレ目が癪だが、確かにグランの言うことは尤もで、自分とは比べ物にならないくらい優秀なようだった。
うう…。何も言い返せない。
「俺も忙しいんでね。依頼もろくにこなせない落ちこぼれと組む理由はないな。ていうか」
グランがルーシーのこめかみの辺りに視線をうつす。
「おまえ、髪に米粒ついてるけど?」
言われて、視線の先に手を伸ばすと、確かにそれらしき感触があった。
「おまえみたいなちゃらんぽらんと行動を共にするなんて絶対無理。落ちこぼれ以前に、女性としてどうなの。一瞬たりとも一緒にいたくない」
くるりと背を向け、歩き出す。
「あ、あたしだってごめんよ!」
こんな男と組むなんてまっぴら。
「そりゃよかったよ。簡単にすみそうで」
グランはローブをはためかせ、あっという間に去っていった。
「…なんなのよ」
なんで初めて会う男にあそこまで言われなきゃならないのよ…。
だらりとうなだれると、一気に暑さが戻ってきたルーシーは、気だるげに扉を閉めた。
…別に大したことでもなかったのに、なんだかすごく疲れた気がするわ。
と、ルーシーは床に一枚の紙ビラを見つけた。
足の指で器用につまみ、拾い上げると、内容を確認する。
「なになに…『力だめし!街最強は誰だ!?』。…この前広場で配ってたやつね」
ああ、とルーシーは思い出す。読み進めると、次の一文に目を止めた。
「『あなたの腕っぷしの強さを見せつけよう!優勝者には賞金あり』…賞金あり!?」
「これは参加するしかないわね!」
ルーシーはフフフとほくそ笑むと、日時を確認する。
「って今日じゃないの!場所は…酒場ね、オッケー!」
そう言うと、ビラを手に、ものすごい勢いで自室を飛び出した。