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一夜限りでは終わりたくない

第1章 一夜限りの関係


その男性は少しの間沈黙して目を閉じた。
そして、なにか決断したように目を開き私を見つめた。

「本当に連れて行くぞ…俺に抱かれる覚悟はあるか?」

「も…もちろん…もうなにもかも忘れるくらいに抱きつぶして欲しい…お願い…」

男は無言で頷くと、スマートにカードを出して私の分の支払いもしてくれた。
そして、店から出るとタクシーを止めた。

「帝都グランドホテルへ行ってくれ」

不思議な事が起こっている。
この男がホテルに入っていくと、フロントは何も言わずにキーを渡した。

「いつものお部屋でよろしいでしょうか?」

フロントに支配人らしき男性が出て来て丁重に対応している。
男は慣れたように話し出した。

「あぁ…部屋はいつものスイート。ルームサービスはシャンパンとイチゴを頼む」

この男は何者だろうか、しかしその時の私にはそんなことはどうでも良かった。


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