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──拝啓、支配様

第1章 1

 汗を拭い、額にハンカチを当てながら、自販機で冷たい飲み物を買う。

 鞄に水筒は入っているが、どうせ先程の暑さでぬるま湯になってしまっただろう。

 一気に口内に冷たい水を叩き込み、軽く咳き込んだ──その時。

「ふ、くす、ふふ。」

 近くから笑い声が聴こえた。必死に水を飲んでいた所を誰かに見られていたのだろう。

 少しばかりの羞恥心が込み上げ、慌ててペットボトルを鞄にしまった。

「ああ、ごめんね。驚かせちゃった?」  

 首をかしげ、そう尋ねてきたのは、綺麗な黒髪と、これまた綺麗な黒く丸い瞳を持った美青年だった。

 いや、青年というには童く見える。

 年齢は僕と同じか……それより少し上か……。そんなところだろう。

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