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──拝啓、支配様

第1章 1

「新入生?」

 男性はそう尋ねる。僕は「はい」と答えた。

 時刻は7時ちょうど。まだ校門をくぐるには早く、雑談をしていても間に合う時間だった。

「そう、なんだ。だったら一緒に行こうか。あ、初めまして。僕──
桜ヶ丘高校で教師をしています、大寺幸人です」

「……へ?」

 彼に誘われ、頷きながら足を踏み出して直ぐ……実に間抜けな声が出てしまった。

 無理もない。新入生として目の前に立っていてもおかしくないこの男は、なんと自身を教師だと嘯いているのだから……。

 嘘でなければ夢だろうか、幻覚だろうか。
 そう考えるほどに彼の見た目は幼かった。

 故に──教師と言われてもなったばかりだろう、そう思った。

 25歳くらいなんだろう。きっとそうだ、それくらいなら納得できる。

 ギリギリだが。

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