テキストサイズ

──拝啓、支配様

第1章 1

「えっと、わざわざありがとうございます…。それじゃあ僕はこれで。大寺先生」

「うん、またね」

 引っかかる言葉だったが、ニュースサイトくらいなら自分で調べられるだろう。

そんなに大きな事件じゃないだろうし、少し気になるが今聞くほどじゃない。

 僕はそう思って彼に背を向けた。

────

 始業式が終わり、やや倦怠感を覚えている身体を、座り慣れていない木の椅子に沈める。

 どの学校でも椅子なんて変わらない気もするが、以前とはどことなく座り心地も材質も違って感じた。

 新入生代表挨拶は、簡単な台本を学校側が用意していた為、何も問題はなく終わった。

 挨拶をしたからといって、僕に話し掛けてくる生徒は居ない。それも無理は無い。何故なら。

 ──男子が少ないからだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ