テキストサイズ

──拝啓、支配様

第2章 2

 金髪の少女が少し厳しい目付きにてそう告げた。

 ───それは、そうかもしれない。

 だがしかし、またも僕自身の脚は動かなかった。

 何故だろう……。同調するのは簡単なのに。

 思考を巡らせる。さすればとても簡単で……そしてとても浅ましい答えに辿り着いてしまう。

 好奇心だ。

 大寺に詳細を尋ねたのも、ここまで着いてきたのも。僕の好奇心が成してしまったこと。

 人がひとり死んでいるというのに……。

 しかしそれでも、僕は抗えなかった。

 どこかで願っていたんだ。

 縛られた面白くもない日々からの脱却を。

 そのチャンスが、今訪れているんだ 。

 だったら逃げる訳にはいかない。

 ───僕はそう、思ってしまった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ