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──拝啓、支配様

第2章 2

 思わず小さな文句が口から出そうになるも、大寺の軽い笑い声がそれを阻む。

「こらこら、失礼でしょう?」

 僕の心情を読んだような言葉だった。

 杏菜はその言葉にぶすくれているが、素直に「はぁい」と返事をする。

 年上からの言葉は素直に聞くタチなのか、はたまた大寺の見た目が整っているからか……。

 とにかく、苦手なタイプの女の子だな……。そう思いながら愛想笑いを浮かべた。

 やや沈黙を挟んでから、本を読んでいた黒髪の少女が軽く視線をあげ、口を開く。

「安藤夏江。2年3組です」
「あ、どうも……」

 かなり簡潔に終わった。

 大人しそうな見た目をしている彼女だ。僕同様に、話すのが苦手なのかもしれない。

 余り詳しくは尋ねない事にした。

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