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──拝啓、支配様

第2章 2

 空気が言葉により、更に張り詰める。

 ゴクリ、と唾を飲んで僕は口を挟むことも出来ず、彼女の話に耳を傾けるしか無くなっていた。

 彼女の言葉を引き継ぐように、次は大寺が口を開く。

「今回死んでしまったのは…当時、3年2組に所属していた菊池愛梨さん。

 彼女はとても優秀で、常に成績トップ。文芸部の部長で、かといって内向的でもなく、クラスでは中心的な存在。外見も良かったって……そう評価されてたよ。モデルの活動もしていたしね……。

 だから、ってのもあるんだけど、少しずつ問題行動を起こすようにもなっていったんだ」

 言いづらそうに言葉は淀む。当時を思い出すように彼は言葉を紡ぎ、少しだけ窓の向こうを見つめた。

「クラス内で内向的な子をイジメてみたり、部活動も少しずつサボるようになって……僕や皆も心配していたのだけれど……そんな中───あの事件が起こった……」

 その時の情景を思い出したのか、大寺は瞳を閉じる。静かで、重い空気が数秒、辺りを包む。

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