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──拝啓、支配様

第2章 2

 非難するように杏菜の眉間に皺が寄る。僕はそれを真っ直ぐと見詰めた。

「皆さんに同情しようにも、僕は皆と会ったばかりだ。それでも力を貸す理由があるとすれば、興味、関心……ただそれだけじゃないでしょうか?
 
 それに、僕を連れてきたのは大寺先生だ。僕はそれに従った部分もあるけど、確かに面白いとも思ったんです。それが皆さんの手伝いになるなら良い事じゃないですか」

 言葉を紡ぐ口は止まらない。不安で脳が焼き付くされそうだった。それでも、誰も僕の話に口を挟む人間は居なかった。

 緊張と不安で声が震える。それでも僕は結論を言い切る。

「口外なんてしませんよ。こんな話。僕が話した所で誰が信じるんですか? だから……僕はこの事件に力を貸します」

「…………」

 空虚な沈黙が再び僕を包み込む。

 やや、空気がピリついているような…そんな気がした。

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