テキストサイズ

──拝啓、支配様

第3章 3

 こんな時間になってしまったら、両親から何を言われるか、一体どう言い訳をすれば良いのか……。

 考えてはみるも、検討もつかない。

 素直に、部活動に入ろうと思い見学をしていた。と、説明すれば良いのだろうが、文芸部なんて、古臭い考えの父親が聴いたら、内向的だ。役に立たない部活だ。と詰るに決まっている。

 考えれば考えただけ、思考は暗渠に沈んでいき、同じく僕の心も沈んでいく。

 暗く深い、ドブの中へ。だ。

 気付いてしまった、扉ひとつ隔てればもう、自分は普通の人間になってしまうのだ、と。

進むことも戻ることも出来ない。決められた電車のように、只管レールの上をグルグル回るだけのそんな管理された日々。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ