テキストサイズ

──拝啓、支配様

第3章 3

 息遣いが響く。

 吐き出された紫煙と、共に鼻に着く匂いに、僕の身体は漸く強ばりを見せる。それでも口は止まらなかった。

「それじゃあ、みんなグルなんですか? 文芸部のみんな……滝川先輩だけじゃない、みんな……そもそも文芸部に連れてくるまでの行動全部……」

「嗚呼、その全てが、茶番だ」

 それがどうした。そう言わんばかりの表情だった。だが、理解が出来ない。

 美麗から送られてきたメッセージが大寺の指示なら、それこそ自滅だ。事件の詳細を僕に解かせて、これから解くタイミングで証拠の無いところで、僕から最も信頼を得たであろう、美麗から事件の真実を聞かせる……。

 こんな事、何でした?

 嫌、なんでやったのかは、昨日の時点である程度答えは出ている。

 出ているが彼の口から聞きたかったのだ。
 一体何がしたかったのか? 目的はなんなのか。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ