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──拝啓、支配様

第3章 3

 何の感情も篭っていないような、そんな声で、彼は僕を追い詰める。言葉に思考は闇へと沈む。

 理解の出来ない言葉に僕は戦慄した。そして、身体が震える。逃げようにも距離を詰めてきた彼の顔と身体が目の前にある。

 小柄だが、僕より背は高い。そして、筋肉量もよく見ればそれなりにある方だ。震えが止まらず、ガチガチと歯が鳴る中、大寺は手を伸ばし、僕の頬へと手を添える。

 その掌に温もりはなく、優しさも感じられない。そして僕に向けられる瞳にもそれは同様で、しかしどこか炎のような熱を宿している。

 恍惚、獰猛。本能に塗れた獣と同様の捕食者の目​─────。

 僕はとんでもない男に目をつけられたのだ、そして掴まってしまったのだ、と、心の底から理解した。心臓を鷲掴みにされるような恐怖が襲い、

瞳は見開かれ、彼から目を反らせない中、唇を開く彼が恐ろしくて堪らない。

次に吐き出される言葉が僕にどんな恐怖を示すのか、と、唇から悲鳴が零れそうになり、荒んだ息が漏れる。大寺はそれを抑える様に頬から小ぶりな手を流れる様に移動させ、ぐっ……と僕の唇を思い切り塞いだ。鼻ごと塞がれ、息が出来なくなる。

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