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──拝啓、支配様

第3章 3

「​────正直、首席で入ってくる人間が、どういう者か興味があったんだ。

男も女も…どちらもなんだけど…君達は特に優秀でね、今年度だけじゃない。

今まで入ってきた生徒と比較しても飛び切り頭が良いのは模試の結果から分かっていたんだ。

だからどんな人なのか、君から確かめようと思ったんだけど…見た目は平々凡々。

まぁ、残念に思ったよ。でも、思考の方はやはりそうでもなかった。

 だから試したんだよ、どこまで辿りつくか。それで見せてみたかったんだ。

その好奇心の果ての絶望がどんな形をしていて、それがどんな風に君を殺すのか…それを試したかったんだよ」

 顔が​─────表情が恍惚と狂気に染まっている。その姿は恐ろしく僕を萎縮させるには充分で、そして何処か​─────。

 美しさを持っていた。

 瞳を奪われ唾を飲む。元々顔付きが綺麗だから、それを際立たせるように、歪んだ表情は猟奇的でどこか美しく一種の芸術品のようだった。死の淵にいるというのに僕はそれに見惚れた。

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