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──拝啓、支配様

第3章 3

 触れてはいけないものほど、恐ろしいものほど、触れてしまいたくなる…。

好奇心とはそういうもので、彼を覗けば覗くほどに、僕は惹かれていることが分かった。仕組まれているにしても、其れで充分で、他の部員たちが何故、彼と共に居るのか、其れもなんとうなく分かった気がしてしまった。

「…………」

 塞がれた口から僕は小さく息を漏らした。其れを合図にするように、彼は唇を塞ぐのを辞めた。彼は僕が大声を出したりしない事を理解したのだろう。

「大寺先生…。その、部活動の皆は大寺先生の協力者ですよね? 皆、僕と同じように……
 大寺先生に殺されかけたんですか?」

 大寺の目が開かれた。僕の問いが予想外だったのだろう。少し考えた後、頭を横に振った。

「​───いいや、彼女たちは噂を聞き付け、掲示板を通じて加入してきた形になる。全員、イジメの被害者や問題の多い学園生活で、ストレスに苛まれていた子達ばかりだ」

「なるほど。
 学校内で起きていた学級崩壊やイジメ行為……。閉鎖された学内であれば、女子校であれば、尚更起こりうるだろう行為に、貴方が目をつけた事は分かりました。

現に、貴方が赴任した3年前からこの学園の退学人数は増えている」

「​────へぇ……」

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