テキストサイズ

──拝啓、支配様

第3章 3

 沈黙が辺りを支配した。

 先同様、大寺の瞳が開かれ笑みが動揺に歪む。

「…………ハァ?」

 当てが外れた、と、やや歪んだ声。然しそこには愉快さが確かに現れていた。

「大寺先生の企みはよく分かりました。僕を殺そうとしている事も、良く分かりました。

貴方が​───、学校内の問題を利用して、引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、其れを楽しんでる、とんでもない人なのも、今の会話で理解出来ました」

 否定するどころか、大寺の瞳が楽しそうに三日月に歪む。

唇に手を当て、何かを考えるような、何かを我慢するような、そんな表情をする。

「でも、貴方から事件を解くように言われて、事件に触れて、部活の皆と話して。

たった半日とも、言えない時間でしたが、僕は楽しかったし、これまでにない刺激を貰いました。

漸く、抜け出せるんだって思いました。くだらない日常から。僕はこんな刺激を求めていたんだって、理解出来ました」

ㅤ僕の言葉に、大寺は何も答えない。只、笑みを浮かべ、先を促すだけだ。

ㅤ僕はそれに答える。まだ恐怖はあるのに、震えながら言葉を紡ぐ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ