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──拝啓、支配様

第3章 3

「だから…僕はこんな所でそれを終わらせたくありません。まだ始まったばかりじゃないですか、事件の真相も、貴方への理解も…」

「…………。何、言ってるか、理解してる?」

  唇を抑えたまま大寺は告げる。其の声はどこか震えていた。そして其の儘、声は続く。

「この事件に本当に関わるってことは、君は殺人を犯すことになる。

僕は君がさっき言った通りとんでもない人間だ。

人殺しだし、君の思っている以上に手を掛けた人数は多い。それでも僕に着くって、君はそう言ってるの?」

 問いかけに僕は頷く。それに対し、大寺も問い掛けるのを辞めようとはしなかった。

「本当にそれでいい?ㅤ僕に関わるってことは、即ち、殺人鬼の思考を理解するって事になる。

其れは、同族まで堕ちることと変わらないよ?

ㅤ僕の思想を理解し、其れに協力するって事はそういうことだ。

ㅤもう普通の生活には戻れないだろうし、もう普通の人間に君はなれない。
其れを分かって、言っている?

ㅤ君は異端になることに憧れて、つまんない日々から抜け出したいって、それだけなんじゃないかな?

 綺麗事でも、物語でもなく、之れは君の目の前で起こっている事だよ? 分かってる? 

其の果てで、知るのは今より深い絶望だ。そして破滅だ。

 ​───其の果てで君は、あの子たちは、僕に殺されるんだ。

其れを分かってて言ってるの?」

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