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──拝啓、支配様

第3章 3

「………はい。ですが、刺激もその分上乗せされていますよね? 少なくとも、僕の提案に貴方は乗るしかないんじゃないですか? そうしてくれないと貴方も今ここで終わりますよ」

ㅤ彼の長い独白を聞き終えた後、僕は彼に終わりを突き付ける。さぞかし楽しい演説だっただろう。

ㅤその全てを記録されていたとも知らずに。

ㅤ僕が彼に突きつけたのは、簡素な黒いボイスレコーダーだ。型落ちの安いもの。
勉強や授業を記録する為に買ったのだが、こんなことにも使える。無論これは、

ㅤただの脅しなのだが。

「今までの会話、全部録音させてもらいました。家に置いてるスマホにバックアップ出来るようにデータ連携もしてます。ベラベラ喋ってましたけど、立派な自白証拠になりますよね? これで貴方の負けです。如何ですか? 大寺先生」

「………」

ㅤ凄まじいことを起こしたのは分かっている。現に彼の表情は驚愕とも、憎しみとも取れないものとなっている。

ㅤそれでも恐怖よりも、愉快や面白いが勝っていた。彼をだし抜けたこと、それが何より嬉しかった。

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