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──拝啓、支配様

第4章 4

…………。


その声は、その場を切り裂く程に確りとした音量で、空間に響いた。

皆が、発言した彼女の方を見る。
彼女​───滝川 美麗の方を。

「…………。何故?」

相対した、大寺の声は冷たかった。

美麗を見る其の視線……其れも同じく氷のようだった。

あんな目で見られたら、誰だって萎縮したりするだろう。

それなのに、彼女は意志の強い瞳を、大寺に向けた。

「こんな、こんな普通の一年生に、何が出来るのよ!!」

​────破裂するような声量だった。

ここが静まり返った部室棟でなければ、他の生徒や、教師が様子を見に来る程には、其の声は鋭かった。

だが、言葉に対して傷つくことは無かった。きっと誰もが思っていることだ。

大寺がぐっと息を飲む音が聞こえた。そしてその後、その息を吐いた。

「……滝川さん、僕はね、彼に負けたんだ」


……認めた。

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