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──拝啓、支配様

第1章 1

 だから、今更歯向かおうなんて思えないんだ。

 僕はこのままでいい。このまま敷かれたレールの上をただ、歩いていればいい。

 だってそれでいいんだから。それで将来が約束されているんだから。

 だったらそれでいい。

 くだらない反抗をして、この先を棒に振って、親から反感を買う。その方が僕にとってはこの上なく面倒だった。

 だから、この先の人生に……

「───それじゃあ行ってきます」

 僕は何の文句も、希望も持ち合わせていなかった。

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