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──拝啓、支配様

第4章 4

彼女は、部室に初めて僕が入って来た時同様で、こちらも見ずに、スマホを弄っていた。

こんな話をしているのに、さっきまで驚いたような顔で僕を見ていたのに。

大寺が話し始めた途端、彼女の興味から〝僕〟という存在は消えてしまったようだ。

彼女の耳は、大寺と画面の向こうにしか、向けられてないし、目だって僕の方を向いていない。

大寺とスマホを交互に、冷めた目で眺めていた。

「先生がこんな男に負けた? そんな訳ないでしょ?」

​────嗚呼、この人は…初めて会った時と同じだ。

この人は、僕を馬鹿にしている。

下に見ている。

目に見えて分かるのは、これ以上ない軽視だった。

「​────どうせハッタリでしょ」

そう、彼女は告げる。

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