
灰色ノ世界
第1章 灰色ノ世界
いつ頃からか、僕の見る世界は灰色に染まりつつあった。人も景色も、視界に写るもの全て灰色一色だ。ゾッとするくらい、色のない世界。
でも多々良だけは違った。
キラキラと眩しい金髪や焼けた肌の色、茶色の瞳、薄いピンク色の唇、正しい制服の色……多々良だけは色を纏っていた。
だから学校へ行くと、自然と多々良に目がいってしまう。僕の世界は、多々良しかいなかった。多々良はひそかに、僕の生きる希望だった。
夏祭り当日、待ち合わせの神社に着くと、多々良のファンらしき女子に囲まれた。
「多々良は今日私たちと遊ぶの。だから真面目くんは帰っていいよ?」
灰色の人間たちがクスクスと笑っている。顔には真っ黒いモヤがかかっていて、どんな顔なのかもわからない。
「多々良と約束したから、帰れないよ」
僕がそう言うと、灰色の人間たちは怒りをあらわにした。
でも多々良だけは違った。
キラキラと眩しい金髪や焼けた肌の色、茶色の瞳、薄いピンク色の唇、正しい制服の色……多々良だけは色を纏っていた。
だから学校へ行くと、自然と多々良に目がいってしまう。僕の世界は、多々良しかいなかった。多々良はひそかに、僕の生きる希望だった。
夏祭り当日、待ち合わせの神社に着くと、多々良のファンらしき女子に囲まれた。
「多々良は今日私たちと遊ぶの。だから真面目くんは帰っていいよ?」
灰色の人間たちがクスクスと笑っている。顔には真っ黒いモヤがかかっていて、どんな顔なのかもわからない。
「多々良と約束したから、帰れないよ」
僕がそう言うと、灰色の人間たちは怒りをあらわにした。
