
Kalraの怪談
第28章 二十八夜目:見下ろし桜
【見下ろし桜】
私が高校生の時の話です。あまり怖くなかったらごめんなさい。
私の高校には、校門入ってすぐのところに立派な桜の木が一本ありました。その高校に入ると、新入生はすぐにこの桜に関する怪談を幾つか聞くことになります。
そのうちの一つが「見上げ桜」「見下ろし桜」というものでした。
見上げ桜の話はこのようなものです。
『昔、屋上からこの桜めがけて飛び降り自殺をした男子生徒がいた。以来、夜11時を過ぎてから、この桜を見上げると、屋上から落ちてくる生徒が見え、目が合ってしまう。』
見下ろし桜の話はこのようなものです。
『夜11時を過ぎて屋上から見上げ桜を見下ろしては決していけない。
桜に惹かれて足を踏み外し、自殺をした生徒と同じ運命を辿るから。』
よくある怪談だろうと思っていたのですが、随分経ってから、この話にまつわる気味悪い話に接することになったのです。
私が高校2年生になったばかりの春。ある日、私の隣のクラスの男子(仮にAとします)が学校で飛び降り自殺をしました。その場所はちょうど見上げ桜のあるところでした。この事件を受けて、本来は関係ないはずの私のクラスの人間まで、Aの死について様々な憶測を口にしていました。
「特に自殺する理由はなかったらしいよ」
「遺書もないらしい」
「あいつはどちらかと言うといじめられっ子というよりいじめっ子だろう。自殺させる方」
「むしろ、誰かに殺されたんじゃね?」
確かに、Aはやんちゃで、気の弱い旧友を脅して金を巻き上げたり、憂さ晴らしにいじめたりなどをしていたらしいのです。
しかし、Aが死の前日に級友たちに「見下ろし桜に挑戦する」とうそぶいていたらしいという話が出てきて途端に噂のトーンも変わりました。
「Aはきっと、真夜中に見下ろしたんだ」
「惹かれたに違いない」
と。
結局、事件は真相が不明なまま自殺で処理されたようですが、桜も散った初夏の頃、ひょんなことから私はある人(仮にBとします)から、この事件の真相を聞くことになったのです。
私が高校生の時の話です。あまり怖くなかったらごめんなさい。
私の高校には、校門入ってすぐのところに立派な桜の木が一本ありました。その高校に入ると、新入生はすぐにこの桜に関する怪談を幾つか聞くことになります。
そのうちの一つが「見上げ桜」「見下ろし桜」というものでした。
見上げ桜の話はこのようなものです。
『昔、屋上からこの桜めがけて飛び降り自殺をした男子生徒がいた。以来、夜11時を過ぎてから、この桜を見上げると、屋上から落ちてくる生徒が見え、目が合ってしまう。』
見下ろし桜の話はこのようなものです。
『夜11時を過ぎて屋上から見上げ桜を見下ろしては決していけない。
桜に惹かれて足を踏み外し、自殺をした生徒と同じ運命を辿るから。』
よくある怪談だろうと思っていたのですが、随分経ってから、この話にまつわる気味悪い話に接することになったのです。
私が高校2年生になったばかりの春。ある日、私の隣のクラスの男子(仮にAとします)が学校で飛び降り自殺をしました。その場所はちょうど見上げ桜のあるところでした。この事件を受けて、本来は関係ないはずの私のクラスの人間まで、Aの死について様々な憶測を口にしていました。
「特に自殺する理由はなかったらしいよ」
「遺書もないらしい」
「あいつはどちらかと言うといじめられっ子というよりいじめっ子だろう。自殺させる方」
「むしろ、誰かに殺されたんじゃね?」
確かに、Aはやんちゃで、気の弱い旧友を脅して金を巻き上げたり、憂さ晴らしにいじめたりなどをしていたらしいのです。
しかし、Aが死の前日に級友たちに「見下ろし桜に挑戦する」とうそぶいていたらしいという話が出てきて途端に噂のトーンも変わりました。
「Aはきっと、真夜中に見下ろしたんだ」
「惹かれたに違いない」
と。
結局、事件は真相が不明なまま自殺で処理されたようですが、桜も散った初夏の頃、ひょんなことから私はある人(仮にBとします)から、この事件の真相を聞くことになったのです。
