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Kalraの怪談

第28章 二十八夜目:見下ろし桜

結論から言えば、Bは死ぬことはありませんでした。卒業後、特にBについての噂を聞くこともないので、たぶん今でも生きていると思います。

真相はわかりません。本当はBがAを突き落として殺したのかもしれません。Bには十分動機もありますし。しかし、ならばBがわざわざあんな話をする必要はないのです。それに、Bの怖がる様は本当のように思えました。

Bが見下ろしたときには現れなかった『それ』が、Aが見下ろしたときには現れた。
そして、『それ』がAを引き込んで、殺した。
やはりそうなのでしょうか。

ここからは私の推測ですが、もしかしたら、見上げ桜にしても、見下ろし桜にしても、死んだ学生は、実は殺されたのかもしれません。特に殺意なく、AがBにしたように、悪ふざけで。
同じ場所で、同じことが起ころうとしていた。だから、『それ』は復讐をしたのかもしれません。

自分がされたのと同じ悪ふざけをしたAに対して。

なんとなく、そう思えたのでした。

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