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Kalraの怪談

第29章 二十九夜目:SNS

☆☆☆
そんなふうに過ごしていたCだったが、ついには先生にスマホを取り上げられてしまった。授業中、あまりにも堂々とスマホを操作していたのが原因だった。

「返してくれよ!」
Cは柄にもなく先生に食ってかかった。
先生が説教をしだすが、全く聞かずに
「返せよ!返せよ!」と繰り返した。
最後には、涙声になり
「お願いだよ〜、返してくれよ〜返してよ〜」と半狂乱になってしまった。
ここにきて、周囲はやっと事態が尋常ではないということに気が付き始めたが、どうすることもできなかった。
噂だけが先走る。

「○組のCってやつがサトルくんと友達になって狂ったらしい」
「脇目もふらずにスマホにかじりついている」
「食事もとっていないんじゃないか?なんだかやつれたっていう噂」
「もうだめだ。あいつ、完全に憑かれている」
などなど。

噂はまたたく間に広がり、それとともに、Cが学校に来る頻度はどんどん減ってきた。
Cが学校に全く来なくなってしばらく後、CのSNSからいろんな人に一斉にこんなメッセージが流れた。
「サトルくんに会える、サトルくんに会える」
「サトルくんに会える、サトルくんに会える」
・・・
それだけが延々とタイムラインに流れてきた。不気味に思った友人たちは、次第にCのアカウントをブロックし始めた。

そんな中、Cと親友同士だと自認しているDだけは最後までSNSをブロックせずにいたらしい。
たまに、「どうしたんだよ」「大丈夫かよ」
と打ってみるが、帰ってくるメッセージはひたすらに
「サトルくんに会える、サトルくんに会える」
だった。

さすがに不気味に感じ、また、通知がひっきりなしで迷惑でもあったので、Cからのメッセージの通知を切ってしまった。
数日後、久しぶりにCのアカウントを開いてみると、画面いっぱいに未読メッセージとして
「サトルくんに会える、サトルくんに会える」
と書かれていて、ゾッとした。
最後のメッセージを確認すると、そこだけ違っていた。
「6月22日」
そこで、タイムラインは終わっていた。

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